細部への誠実さが、暮らしを整える

2024年8月、リノベーションをした家が完成し、家具を納品。湯本さんはnineの家具が納入されたときの心に起きた変化を、こう言い表しました。
「家具が入ると、『家になった』って感じがしたんです。図面の上ではわかっていても、実際に家具が置かれると、生活のイメージが一気に湧くんだなと」
さらに驚いたのは、「ここが合わない」という後悔がなかったこと。昭史さんご自身がしっかりと計測し、その上で細かな打ち合わせを重ねた図面が、そのまま現実に落とし込まれていたのです。
「サイズ感も、コード類の収まり方も、すべてぴったり。『このサイズにすれば良かった』という後悔は一つもありませんでした」

テレビ台は背面にコードを収納できるように工夫した
それぞれの家具が居場所を生み出す
湯本さんご家族がこの家で暮らし始めて、1年と3ヶ月。nineの家具は欠かせない存在になっていました。座卓からダイニングテーブルでの生活へ。体も楽になり、過ごしやすくなっただけでなく、褒められることも増えたといいます。
「お友達が来たときも、『いいテーブルだね』って褒めてくれるんです。5人家族だから広いほうが使いやすいと思って旦那の意見を押し切って1800mmにしたんですが、それが好評で。1800mmにしようかなってテーブルを買った友達もいるんですよ」と知美さんは嬉しそうに教えてくれました。
さらに、「テーブル、ソファ、そして和室。いろんな場所に居場所が増えました」と、昭史さん。前の家では、限られた一角で床座の生活をしていましたが、「リビングで食べる」「ソファでゆっくりと」「和室でくつろぐ」など、その時々で心地よい場所を選べるようになりました。

以前は庭を覆うようにブロック塀があったが、塀を取り壊し、景色を一望できるようにした
その中でも特にお気に入りなのが、ソファに座って大きな窓から景色を眺めること。何をするわけでもなく、ただ外を眺めたり、お酒を飲んだりする。それだけで幸せだといいます。
「ぼんやりと景色を見ている時間が心地よいんです。特に朝焼けの景色がきれいで。朝と夜は白鳥が飛んできて、羽の音まで聞こえるんですよ。2階から見ると、朝は霧が立ち込めて雲海のように見えて幻想的で。夜は星がきれいだし、ブラインドを閉めるのがもったいないくらいです」

2階からは角田山や多宝山、弥彦山が一望できる。雲海のような景色も。(画像提供:湯本さん)
世代を超えて寄り添い続ける
nineの家具はすべてが無垢材。無垢材は何十年も持つので、今回リペアをした座卓と同じように、何世代にわたって受け継がれていく可能性も十分あります。その上で昭史さんはこれからの楽しみを口にします。
「これから家族構成は変わっていくだろうけど、nineさんの家具はずっと寄り添い続けてくれるんだと思います。子どもたちが帰ってきたときも変わらずあるだろうし。テレビ台の籐張り部分が飴色になっていくのも楽しみにしています」

湯本さんがnineのワークショップに参加した際に作った、一輪挿し
生涯のパートナー。それは家族や恋人、職場、地域など、人とのつながりだけではない。家や家具も、生涯のパートナーとして寄り添ってくれる存在になり得る。
それが分かっているからこそ、湯本さん夫妻は家具に妥協せず、ピンとくるまで探し続けたのではないでしょうか。幾度となく家具屋さんに足を運びながらも、「これだ」と思える瞬間を待っていたのは、「家具」という生涯のパートナーを考えていたからなのかもしれません。
取材を終えて
取材を通じて感じたのは、居心地のよさを追求する湯本さん夫妻の姿でした。「ピンとくるものがない」という感覚は、単なるこだわりではなく、心地よい空間にするために何が必要かを理解していたからこそ。よい家具が欲しいのではなく、家族みんなが落ち着ける場所を追い求めた結果なのではないでしょうか。
家具選びはモノを選ぶのではなく、暮らしを選ぶこと。
主張しすぎないnineの家具が、湯本さんの居心地のよさにぴったりと当てはまっているようでした。
Interview&Photography:
Madoka Hasegawa(Editor / Writer)
